教室紹介

外山宏主任教授

藤田医科大学医学部
放射線医学教室
主任教授
外山 宏

産学共同研究とともに歩んできた
放射線医学教室の歴史

藤田学園・名古屋保健衛生大学病院(現藤田医科大学病院)の1973年5月開院にあたり、名古屋大学から古賀佑彦教授が着任されました。1975年には国産CT1号機(日立製頭部用)が東京女子医大(英国製)に次いでわが国で2番目に導入されています。その後東芝との共同開発が進められ、1990年には世界初のヘリカルCT、2007年には320列の面検出器CTが開発されました。2001年、古賀教授の定年退職後、片田和広教授が第2代教授に就任されました。片田教授は就任後も被ばく低減技術など一貫してCTの共同開発を進め、藤田医科大学放射線医学教室は世界をリードしてきました。

低侵襲画像診断・治療センター(放射線棟)
オープンによる新時代への突入

藤田学園50周年記念事業の一環として、2012年9月16日に低侵襲画像診断・治療センター(放射線棟)がオープンしました。地下1階:放射線治療、1階:核医学、2階:MRI、3階:ハイブリッド手術(血管造影)、4階:CT、5階:透視とモダリィティ別に分かれています。日本で初の一棟まるごと放射線関係の施設です。各フロアに最新鋭の機器が導入されました。2013年、片田教授の定年退職後、私、外山 宏が第3代教授に就任しました。放射線棟は、高精度定位放射線治療および強度変調放射線治療装置(2016年4月から2台目稼働予定)、密封放射線治療装置が当院で初めて導入され、がん病巣に絞った詳細な治療が可能になりました。長年待望であったがんの再発診断に威力を発揮するPET/CT装置も導入されました。SPECT/CT装置、頭部・心臓用3検出器SPECT装置も導入され、形態のみでなく、代謝、機能も含めてより詳細で精度の高いな画像診断が可能となりました。超高磁場(3テスラ)MRI装置は3台導入し、超急性期脳梗塞のすばやい検査、椎間板ヘルニアなど整形外科領域、骨盤領域の診断に威力を発揮します。ハイブリッド手術フロアにある5台の各臓器の検査に対応した血管造影装置は心臓、大動脈、脳など高度の血管内治療に威力を発揮します。CTと一体となった装置もあります。CTフロアには本学放射線科が中心となり産学共同開発した320列面検出器CTが 3台あります。世界最速0.275秒/回転、1度に16cmの範囲をスキャンすることができます。脳、心臓全体などの”4次元(3次元の広がり+時間)”の詳細な情報を得ることができます。X線透視フロアにはフラットパネル搭載型透視装置4台があり、詳細な消化管検査が可能です。これらすべての領域において、教室のお家芸である産学共同研究を進めており、定期的にミーティングを行い、新しい装置や、測定法の開発を進めています。それらの研究には、学内の他科、医療科学部放射線学科教員など多くの人がかかわっており、多施設共同研究も推進しています。若手医局員、大学院学生も研究テーマとして積極的に係わっています。

さらなる飛躍に向けて

放射線棟オープン後新しい装置が導入され、医学生、研修医の先生が興味を持って毎年入局してくれるようになりました。しかしまだまだ充足していません。今後は新しい専門医制度により連携、協力病院の力もお借りしながら魅力的な放射線科の研修システムを構築し、より多く入局していただけるような教室を目指していきたいと思います。地域の病院の先生方にもぜひ放射線棟を有効利用していただけるようにシステムを構築したいと思います。よろしくお願いします。

林真也教授

藤田医科大学医学部
放射線腫瘍科
教授
林 真也

さらなる高精度放射線治療をめざして

放射線腫瘍科は医学部講座外部門とし、放射線治療の著しい進歩の中で全国的に放射線診断学と放射線腫瘍学との分離の必要性が求められ、先代の小林英敏教授が設立されました。平成28年4月に林 真也が放射線腫瘍科教授とし就任いたしました。癌治療において放射線治療は、近年の治療技術の進歩によりますます重要な役割をはたしております。放射線治療で癌は治せない時代は終わり、高精度放射線治療により副作用も少なく手術と同等の治療成績も得られるようになってきました。また手術と比較して侵襲性も少なく、手術不能な患者さんや高齢者に対してもやさしい治療です。今後、高齢者の増加に伴い、ますます放射線治療の重要性がさけばれております。

放射線腫瘍科においては、最新鋭高精度照射装置( Novaris Tx, TrueBeam)の導入で定位照射、IMRTなど高精度放射線を実施、また医学教育、放射線治療医の育成に積極的取り組み、当科から世界に発信できる研究開発も行っていきます。臨床においても、当院は愛知県下でも有数の照射患者数があり、患者さんの病態のみならず、個々の希望に沿うようきめ細か診療を心掛けたいと思います。また他診療科の先生方との緊密な連携が非常に重要であり、院内外の色々な診療科の先生方とご相談しながら診療を進めて参りたいと考えております。
放射線治療は、化学療法や外科治療など含む癌治療全体を含む腫瘍学の知識、放射線生物学、物理学、そして画像診断の知識が必要です。当院では各診療科、放射線学科や特に画像診断において放射線科との連携を密とします。特に画像診断においては、放射線治療の高精度化により、IGRT(画像誘導放射線治療)が必須であり、腫瘍の局在や進展範囲、解剖学的知識とし画像診断能は重要であり、この点は常に放射線診断部門とは、アットホームの中で学べると思います。

放射線治療患者の急増と高精度化を背景に、専門家としての放射線腫瘍医の需要が急増しているため、現在、放射線腫瘍医は非常に不足しています。ひとりでも多くの医学生、医師が、放射線治療に参加してくれることを願っています。

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